LiD/APDとは?

聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder: APD)とは、「聞こえている」のに、「聞き取れない」、「聞き間違いが多い」など、音声をことばとして聞き取るのが困難な症状を指します。 

通常の聴力検査では異常が発見されないこの症状は、耳から入った音の情報を脳で処理して理解する際に、なんらかの障害が生じる状態だと考えられています。

この状態を表す言葉として、海外ではListening difficulties:LiDという言葉が使用されることが多くなっています。このLiDを「聞き取り困難症」と称し、従来のAPDをLiD/APDとして表記していくことになりました。

LiD/APDの症状

・雑音の中では話が聞き取れない

・聴力検査では問題無いと診断された

・複数の人との会話や音は同時に聞き取れない

・口頭で言われた事は忘れてしまったり、理解しにくい

・早口や小さな声が聞き取りにくい

・話が長くなると途中から何を言っているのかわからなくなる

・テレビや映画は字幕が無いとよくわからない

LiD/APDの診断

LiD/APDは近年認知度が上がってきたとはいえ、耳鼻科専門であっても診断が出来る医師は多くありません。

全国でも細かな検査が出来るのは少数の医療施設で、確立した検査法や診断基準がないためにそれぞれのやり方で行われています。

専門性の高い内容であるため、医療機関を探すのはなかなか難しいのが現状です。

LiD/APDの検査

LiD/APDであるかどうかを診断するためには、様々な検査が必要です。日本ではまだ診断基準が定まっていないため、検査結果から総合的に判断することになります。

一言にLiD/APDといっても、背景要因や聞き取りにくさの程度・どんな状況で聞き取り困難になるかといった特性は異なるものです。

自身の詳細を知ることで自分にとって最善の対処法を知ることに繋がり、また、別の病気や障害が隠れていないかも調べることができます。

APD/LiDと診断されたら

聴力に異常が無いのに原因不明の聞き取りにくさに悩んでいた人にとって、LiD/APDが原因だと判明するとホッとする人が多いようです。

聞き取れないことによってネガティブな評価を受けたり、自己評価が低くなっていた人も自分自身を責める必要が無いと知って前向きに受け止める傾向にあります。

一方で、障害という言葉にショックを受ける人も少なくありません。しかし、自分の具体的な特性や困難を知ることによって自分に合った対処法や改善法を選択できます。

早めに診断されることは、日常生活の工夫が可能となって適応力が向上する大きな助けとなるでしょう。

周囲の協力・理解が大切

LiD/APDは聴覚に異常がないため、周囲への伝え方に悩む人も少なくありません。しかし、学校や職場で支障なく生活するためには周りの人の配慮やサポートが必要です。

具体的に伝えることによって、身近な人に理解してもらい、精神的に寄り添ってもらうことも大切です。また、相手との関係によってどのように伝えるかも変わってきます。 

参考文献